アメリカの銀行詐欺罪とは？通信詐欺罪との違いは？保釈された水原一平容疑者は今後どうなる

ドジャース・大谷翔平選手の元通訳である水原一平氏が、違法賭博でドジャースを解雇となりました。

水原氏は、2024年3月20日の開幕戦後の囲み取材で大谷選手の横についていた姿を最後に、行方が分からなくなっていましたが、韓国からアメリカに極秘帰国していたことが明らかになりました。

帰国の際、水原氏は飛行機を降りたあとに捜査当局に呼び止められました。しかし、水原氏が罪を認めたため身柄拘束を見送ったとされています。

水原氏は、アメリカの連邦法で定められている「銀行詐欺罪」で訴追されました。では、一体、「銀行詐欺罪」とはどんな罪なのでしょうか？窃盗や横領とは何か違うのでしょうか？

アメリカ連邦法の「銀行詐欺罪」とは

アメリカ連邦法で定められている「銀行詐欺罪」とは、金融犯罪の取り締まりに使われる罪状です。

個人的な利益のために、またはその他の犯罪行為を行うために金融機関またはそのサービスを悪用することが含まれ、具体的な例を挙げると

などです。銀行詐欺は重大な犯罪であり、「100万ドル以下の罰金」または「30年以下の禁固刑」、またはその両方が科せられます。

参考：

「銀行詐欺罪」という罪状は、あまり聞きなれない言葉ですよね。他人のお金を盗んだとなれば、「横領」や「窃盗」の罪に当たるのではないかと思ってしまいます。

では、「銀行詐欺罪」というのは、窃盗や横領とは何が違うのでしょうか？

結論、騙した相手が個人であるか、銀行であるかという違いになります。

もちろん、大谷選手本人を騙していることには違いなく、窃盗や横領の罪にも該当します。ただし、窃盗や横領は最高でも禁錮3年。対して、銀行詐欺罪は金融機関を騙した罪であり、窃盗や横領よりもはるかに罪が重いのです。

そのため、窃盗や横領で起訴することも可能ではありますが、最長30年の禁錮刑となる銀行詐欺罪で終結するのではと言われています。

当初、大谷翔平選手の口座から450万ドルを違法ブックメーカー（賭け屋）に送金したことに対して、「通信詐欺罪」に問われるおそれがあると言われていました。

通信詐欺罪は、詐欺行為そのものではなく、詐欺のための州間通信行為を罰するものです。

具体的に言うと、大谷翔平選手の財産を奪うために、水原氏が、電話やメールなどで、「借金の肩代わりをしてほしい」などと頼んで大谷選手にお金を送金させた際にこの罪に該当します。実際に送金していなくても、水原氏が大谷選手を騙してお金を無心する発言をした時点で、この罪に引っかかるということです。

通信詐欺罪は、20年以下の懲役又は個人25万ドルの罰金となります。

当初、水原氏はこの問題が明らかになった際に、「借金を大谷が肩代わりしてくれた」と発言していました。

しかし、この発言はウソであり、水原氏が大谷選手の口座の設定を変更し、大谷選手本人にアラートがいかないようにし、大谷選手の全く知らないところで大金を奪っていたことが明らかになりました。さらには、銀行に対して大谷選手になりすまして電話をしていたことも明らかになっています。

このことから、当初疑われていた「通信詐欺罪」ではなく、金融機関を騙したとして通信詐欺罪よりもさらに重い「銀行詐欺罪」で訴追されました。

銀行詐欺罪で訴追された水原一平氏は、今後どうなるのでしょうか？

2024年4月12日(現地時間)、黒いスーツ姿で白いワイシャツを一番上までとめてロサンゼルスの連邦地裁に出廷した水原氏。

連邦地裁は、保釈金を2万5000ドル（約380万円）に設定しました。水原容疑者は即日納付し、保釈されました。判事からは、保釈金の条件として、

を言い渡され、水原氏はすべてに「はい」と答えました。

この一連の手続きは15分ほどで終了し、次回の出廷は2024年5月9日に決まりました。

「保釈」とは、身柄拘束を一時的に解除する制度です。

アメリカでは原則として冒頭出廷の審問で未決拘禁にするか、釈放するか判断が行われます。「未決拘禁」となった場合は拘置所で生活することになりますが、刑務作業などはありません。

米国の刑法では、被告人は「推定無罪の権利」を与えられており、有罪判決が確定するまでは犯罪者として扱われないようになっています。推定無罪の状態で、身柄を拘束されてしまうと、家族がバラバラになってしまったり、職場や学校に行けなくなってしまいます。

水原氏は「保釈」となったため、保釈時の条件となった事項を守りさえすれば自宅で過ごすことができます。水原氏には奥様と3匹の愛犬がいるので、今後について、奥様と話し合うなどするのではないでしょうか。

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